私とキスと横恋慕。



ひっ、ひいいぃぃぃ!!!

こ、こわ…


「沙々、無視しろ。」

「おいおい。何照れてんだよ、景くん♡」

「いい加減にしろ。教えねぇぞ。」

「はははっ!!わかったよー。」


アホコンビはにやにやと笑いながら、教科書に目を落とした。


『殴るぞ』じゃなくて『教えねぇぞ』って言ったな、桐山。

なんか可愛い。

何ヵ月か付き合ってみて、
相変わらず私は桐山を好きになる一方。

新たな一面を知るたびに、可愛いところを見つけるたびに、
どんどんどんどん落ちていく。



「そーいや、沙々。
桐山のこと名前で呼ばねぇの?」

今度言い出したのは御岡くん。

「また恋バナかよ。」

桐山は呆れたように、ため息をついた。
でも特に止めはしない。

「んー、名前呼びするきっかけもないし、ズルズルと…」

「桐山は?
名前で呼ばれたくないの?
自分は名前で呼んでるのに。」

「どーでもいいだろ、今そんなの。」

「ほら、すぐ照れる~」

アホコンビが逃さず桐山を茶化す。

「そうだよ、沙々。
桐山くんばっかり沙々のこと名前で呼んでて可哀想。」

美羽までそんなことを言う。

「……呼んでほしい?桐山。」

私は桐山の顔色を伺いつつ、そう尋ねた。







「まぁ…」





ズキュンッ


か、かわかわかわ、
かわいいいいぃぃ!!





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