私とキスと横恋慕。
桐山は耳だけ赤くして、教科書を見てるふりしてうつむいてる。
どうしよう、今すぐぎゅーってしたい。
「聞きました!?奥様!」
「えぇ、桐山さん、彼女さんに名前で呼ばれたいらしいわよ!」
「あらやだ、ハレンチだわぁ」
「…うっせぇ」
いつもなら怖い桐山の睨みも、なんの迫力もなくなっている。
「沙々、呼んであげなよ~」
美羽にそう言われ、私は桐山の方を向いた。
桐山が私をチラリと見る。
「景…くん?」
「…何。」
「えへへ…景くん可愛い。」
「……」
桐山は珍しく何も言えずに、顔を赤くしてるだけだ。
いつもと形勢逆転!
「ははっ、あの桐山が可愛いなんて言われる日が来るなんてな。」
「まぁ最初は丸くなったお前にイラついてたけど、悪くないな。
貴重なもん見れたしさ。」
「だろ?」
御岡くんはアホコンビの言葉を聞くと、
嬉しそうに笑った。