私とキスと横恋慕。
「んな、なっ…美羽!何今の!」
「さすが沙々。モテモテだねぇ!」
「ち、ちがっ…!」
「うるせぇ、帰るぞ。」
桐山が問答無用で私たちのカバンを奪い取り、
さっさと駅に向かって歩き出した。
なんか、今日の桐山は何をやっても全然怖くない。
むしろかわいい。
私と美羽は顔を見合わせて笑うと、
走って桐山の後を追った。
*******
2日後ーー
「うぅ、勉強しすぎでゲロ吐くぅ」
「コラ、女子がゲロとか言わないの!」
「美羽だって言ってるじゃーん。」
「そんなこと言う子には"まとめ"あげないぞ!」
私は慌てて姿勢を正して、頭を下げた。
「お願いいたします!!美羽さま!!」
「しょうがないなぁ、ふふっ」
テスト4日間の内の2日は終わり、
まとめる係が桐山から美羽に交代になった。
いや、こんな事実を述べることすら、情けないんですけどね…
秀才二人の勉強時間を削ってるわけですからね…
まとめられたプリントをパラパラと見るが、
分からないことが分かりやすくまとまっていることは分かる。
自分のバカさにそろそろメンブレしそうだ。
「それでさ、明日明後日で数Ⅲと化学のテストあるじゃん?
私どっちもやばくて…
教えてあげる時間なくなっちゃうんだけど、いい?」
「全然全然!いいも何も、まとめてもらってるだけで光栄の極みなので!」
「ごめんね、桐山くんに教えてもらって♡」
美羽が可愛く顔の前で手を合わせるので、
ゲロ吐きそうなほどの疲れもふっとんだ。
「んもう!美羽かわいい!」
私が美羽に抱きついていると、背後から悪魔が近づいてきた。