私とキスと横恋慕。
「そんなのでいいの…?」
「"そんなの"ってな…。
もともと目的は明日のテスト勉強詰め込むことだろ。」
「そう…だね。たしかに!」
なんか私、趣旨ずれたこと考えてた!
「やる!美羽がせっかくまとめてくれたし、
桐山にも時間とらせてるし。
ちゃんとやります!」
桐山はため息混じりに微笑むと、
自分が勉強していたノートに視線を落とした。
よし!ちゃんとやるぞ!!
忘れかけてたけど私一応受験生だし…アハハ!
…
…
笑えねぇ…
*****
3時間後ーー
「桐山!終わったよ!」
私は苦しみながらも英語の演習をやりきった。
美羽の説明分かりやすいし、それでも分からないところは桐山が丁寧に教えてくれた。
もちろん、おしおきなしで!
「よし。そろそろ下校時刻だし、勉強はこれくらいにするか。」
「そだね。」
外には赤い空が広がっている。
もう季節は5月。
暖かくなってきて、半袖の生徒もチラホラ出てきた。
冬の名残はもうないけれど、
目の前にはいつでも温もりをくれる人がいるから、寂しくない。
私は勉強道具をまとめ、鞄にしまった。
「今日はありがとう。
自宅で現代文も固めます。」
「おう。じゃ、精算しよう。」
「え??」
今なんと?
居酒屋で聞くようなセリフが…。
桐山はここ数時間潜めていた悪魔の微笑みを再び浮かべた。