私とキスと横恋慕。



「そんなのでいいの…?」

「"そんなの"ってな…。
もともと目的は明日のテスト勉強詰め込むことだろ。」

「そう…だね。たしかに!」


なんか私、趣旨ずれたこと考えてた!


「やる!美羽がせっかくまとめてくれたし、
桐山にも時間とらせてるし。
ちゃんとやります!」


桐山はため息混じりに微笑むと、
自分が勉強していたノートに視線を落とした。


よし!ちゃんとやるぞ!!
忘れかけてたけど私一応受験生だし…アハハ!





笑えねぇ…


*****

3時間後ーー


「桐山!終わったよ!」

私は苦しみながらも英語の演習をやりきった。

美羽の説明分かりやすいし、それでも分からないところは桐山が丁寧に教えてくれた。
もちろん、おしおきなしで!


「よし。そろそろ下校時刻だし、勉強はこれくらいにするか。」

「そだね。」


外には赤い空が広がっている。
もう季節は5月。
暖かくなってきて、半袖の生徒もチラホラ出てきた。

冬の名残はもうないけれど、
目の前にはいつでも温もりをくれる人がいるから、寂しくない。

私は勉強道具をまとめ、鞄にしまった。


「今日はありがとう。
自宅で現代文も固めます。」

「おう。じゃ、精算しよう。」

「え??」


今なんと?
居酒屋で聞くようなセリフが…。


桐山はここ数時間潜めていた悪魔の微笑みを再び浮かべた。




< 221 / 277 >

この作品をシェア

pagetop