私とキスと横恋慕。



「おしおき。」

「なっなっ!なんで!
もうなくなったんじゃないの!?」

「そんなこと誰も言ってない。
まぁ色々間違えてたけど、しょうがねぇから5個で勘弁してやる。
感謝しろ。」

「ふぇ、ほへ…」


ビックリしすぎて変な効果音しかでない。


くそ~!!
桐山の性悪!

もういい!こうなったら!!

「望むところだ!」

「なんだ。威勢いいじゃん。
んー、じゃあ一個目…」

「あの、ちなみに拒否権は…?」

「あるわけねーだろ。ミジンコバカ。」

「んなあっ!」


ミジンコだけじゃ飽き足らず、バカまで…


「一個目。まず名前呼び。戻ってる。」

「あっ、そう言えば。」

「……。」

あ、桐山。ちょっと赤くなって照れてる。
かわいい…。

「景くん。今日はありがとう。」

「『くん』いらない。」

「……景。」

「……。」


な、なんか…
急に恥ずかしいぞ…

何で黙るのよぉ!


少しの沈黙のあと、桐山は伏し目がちに言葉を続けた。

「二個目。キスしろ。」

「ええっ!もう!?」

「文句あんのかよ。」


ピッチ早くない?
二個目でキスなんて…あとの三個がどんどん過激になるんじゃ…


「早くしろ。下校時刻になる。」

「…っうん…」


私は座っている桐山に近づいた。

やっぱり座っているときは目線があまり変わらない。

私がちょっと上って、照れるな。この位置関係。


髪を耳にかけ、少し屈んで桐山の顔に自分の顔を近づける。


桐山は今までと打って変わって照れる様子もなく、
ただ真顔でじっと私を見つめていた。


そっとその唇に自分の唇を当て、再び距離を広げた。




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