私とキスと横恋慕。



「はい。終わり…」


桐山は熱っぽい瞳で尚も私を見つめていた。

その視線は私の心臓をぎゅうぎゅう持ち上げようとする。


「三個目。キス"させろ"。」

「……うん…。」


桐山は私の後頭部に手をあて、頭を引き寄せた。

確かめるように優しくキスを繰り返す。


「…っ…き、りやま…」

桐山はピクッと反応すると、私の唇を噛んだ。

「った…」

「『景』。」

「…っ、景…んんっ…」


さっきまでとは全然違う大人のキスに耐えきれず、
私は桐山の膝の上に座り込んだ。


静かな教室にリップ音が響いていて、
たまらなく恥ずかしい。


遠くで下校のチャイムが鳴っている。

先生が見回りに来るかも。
帰る生徒に見られるかも。

そういうことを考えるたびに、私の心臓はすさまじい速度で跳ねる。
それを見逃さないかのように、桐山のキスは深くなっていった。



数分間の下校のチャイムが鳴り終わる頃、
桐山はキスをやめた。


「っ…はぁっ…はぁ…」

「息、乱れすぎ。」


桐山を見上げると、いつもより少し顔が赤いように見えた。


「帰ろ。沙々。」

「…ん…。」


荷物を持ち、桐山は私の手を引いて教室を出た。



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