私とキスと横恋慕。



教室の外に出てすぐ、廊下の向かいから見回りの先生が歩いてきた。

桐山はさっと手を離すと、
「危なかったな」
と呟いた。


校舎の外に出ると、夕焼けはほとんど沈んでいて、
暗くなり始めていた。


「送る。」

「うん…。」

「四個目…。」

「ねぇ、景。」

「ん?」

「おしおきなんて名目つけなくても、
景といっぱいキスするの好きだし、
その先も景となら怖くないよ?」 


桐山は乾いた声で笑うと、私の頭をポンポンっとなでた。


「そうだな。
ま、でもさっきのシチュは結構興奮したし。」

「んなっ!!や、やめろ!」

「おしおきなんだから沙々も喜ぶことしちゃ意味ないか。
沙々も興奮してたもんな。」

「しっしっしっ、してない!!!」

「じゃあ四個目。
鞄持て。」

「へ。」

「五個目も使うわ。
足疲れたから、お前んちまでおぶってけ。」


鞄を投げ渡され、状況が飲み込めずにあたふたしているうちに、
桐山は私の背に全体重で乗っかってきた。


「ぐ…お、重…っ」

「はい。出発。」


全筋力を使って一歩を踏み出すが、それ以上は立っているのでやっとだ。


「早く進め。」

「うぐぅ…」

「お前がこういうおしおきの方が良いっつったんだろ。」

「…っ、良いなんて言ってない…」

「まぁキスが良いなら変えてやってもいいよ。」


桐山はそのセリフと共に私の耳にふっと息をかけた。


「んに゛やゃあああぁぁぁ!!!」


私は奇声と同時に悪魔・桐山に押し潰されたのだった。




*****

~後日談~


テストは『ノー赤点、ノー平均以上』という、中の下最強の結果でした。




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