私とキスと横恋慕。
教室の外に出てすぐ、廊下の向かいから見回りの先生が歩いてきた。
桐山はさっと手を離すと、
「危なかったな」
と呟いた。
校舎の外に出ると、夕焼けはほとんど沈んでいて、
暗くなり始めていた。
「送る。」
「うん…。」
「四個目…。」
「ねぇ、景。」
「ん?」
「おしおきなんて名目つけなくても、
景といっぱいキスするの好きだし、
その先も景となら怖くないよ?」
桐山は乾いた声で笑うと、私の頭をポンポンっとなでた。
「そうだな。
ま、でもさっきのシチュは結構興奮したし。」
「んなっ!!や、やめろ!」
「おしおきなんだから沙々も喜ぶことしちゃ意味ないか。
沙々も興奮してたもんな。」
「しっしっしっ、してない!!!」
「じゃあ四個目。
鞄持て。」
「へ。」
「五個目も使うわ。
足疲れたから、お前んちまでおぶってけ。」
鞄を投げ渡され、状況が飲み込めずにあたふたしているうちに、
桐山は私の背に全体重で乗っかってきた。
「ぐ…お、重…っ」
「はい。出発。」
全筋力を使って一歩を踏み出すが、それ以上は立っているのでやっとだ。
「早く進め。」
「うぐぅ…」
「お前がこういうおしおきの方が良いっつったんだろ。」
「…っ、良いなんて言ってない…」
「まぁキスが良いなら変えてやってもいいよ。」
桐山はそのセリフと共に私の耳にふっと息をかけた。
「んに゛やゃあああぁぁぁ!!!」
私は奇声と同時に悪魔・桐山に押し潰されたのだった。
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~後日談~
テストは『ノー赤点、ノー平均以上』という、中の下最強の結果でした。