私とキスと横恋慕。



「待ちなさい、桐山。」

三人が教室を出た直後、最後尾の俺だけが呼び止められた。

「……
なんすか。」


教室は依然として静まり返っている。
俺の対応にみんなが期待しているような、怖がっているような空気だった。


「お前は席に戻りなさい。」

「俺も私語してましたが。」

「お前は優秀な生徒だ。
先生方はみんな君に期待している。
つるむ友人はよく考えた方が良い。」

「どういう意味ですか。」


俺が先生をにらむと、山口はさっと目を逸らして言葉を続けた。


「ああいう不良連中と関わっていれば、
お前の勉強にも支障が出る。
悪影響しかない。」

「……。」

「みんなよく聞け。
今出ていったやつらとつるんでいるようなら内申を下げるぞ。」


クラスの連中は黙って下を向くだけだった。


「お前もだ、桐山。
あいつらと話すなら内申を下げる。
これはお前のためだ。」


山口はくすんだ瞳で俺を一瞥した。




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