私とキスと横恋慕。
「下らね…」
「ん?なんだ?桐山。
文句があるのか?」
「いいえ。ありません。」
「そうか。なら…」
俺が強くにらむと、山口はうろたえたように言葉を切った。
「先生。
そしたらこれから俺、先生の授業には一切出席しません。」
「なっ!!」
ザワッ
クラスのみんなが俺の方を振り向いた。
「出席、もう足りてますよね?」
「そ、そういう問題じゃ…!
そんなこと許すわけ…」
「先生の説明、分かりづらいんですよね~。」
「ふっ、ふざけるな!!!
誰がお前なんかに内申やるか!!」
山口は教卓をバンッと叩き、そう怒鳴った。
でかい音出せばビビるとでも思ってんのか?こいつ。
「先生の担当以外の数学はちゃんと出席しますよ。
そんでテストも上位取ってれば、内申つけない訳にいかねえだろ。」
「な、それは…」
「あ。あんたの教師としての立場の方が危ないかもね。」
「っ…くっ…」
山口は口をパクパクさせているだけで、返す言葉が見つからないようだった。
「今までの定期テストも自分の力でやってきました。
これからのテストも高校受験も自分の力でやります。」
俺はドアの外に一歩踏み出した。
「ついでに友達も、自分の力で選びます。」
俺はそう言って歩き去った。
この後の教室は、女子の黄色い声と男子の喝采で埋め尽くされていたそうだ。