私とキスと横恋慕。



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3年前ーー


2年のときの山口反抗事件をきっかけに、
俺は周囲から好意8:敵意2くらいの感情を向けられるようになった。
敵意は金髪ピアスの相貌が原因で絡んでくる不良連中。
好意は女子は恋愛、男子は尊敬だった。


特に女子からの好意は3年生になってから告白という形で後を絶えなかった。



「なんでお前、そんなにモテんだろーな。」

「何、急に。」


今日も俺たちは屋上でタバコをふかしながら休み時間を過ごす。
そんな中、御岡が俺にそう尋ねた。


「だって一週間で必ず一回はコクられてんじゃん、桐山。」

「知らねーよ。」

「やっぱイケメンだから、じゃね?」
「イケメンでちょい悪って、ねーちゃんの少女漫画によく出てくるぜ。」

田中と安田がそう答えた。


3年生になってから、俺の身長はかなり伸びた。
ケンカのおかけで筋肉もついたし、それが原因か?


「いいよなぁ、俺も彼女ほしいよー」

「御岡は性格は良いよ。性格は。」

「おい、ヤス。『性格は』ってなんだよ!」

「性格は。」

「このやろ!」


御岡が安田に軽めのゲンコツを浴びせた。


そんな風にうらやましがられるけど、
ホントに女子と付き合うことに興味がなかった。

それは語弊があるな。
興味の出る女子がいなかった、の方が正しい。


どいつもこいつもつまらない。
俺に好意を抱いているのは分かるけど、みんなどこかビビってる。
尊敬しているみたいな、持ち上げられる感じがたまらなく嫌だった。

俺を怒鳴るような気の強い女はいねぇのかな。
俺ってM…?


「あ、そだ。忘れてた。」

田中がポケットをがさごそといじり、
俺にぐちゃぐちゃになった手紙を差し出した。




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