私とキスと横恋慕。
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「……ぃ」
「…おい」
なんだ?
田中か?女子に言ってきてくれたんだろうか…
「おい!!!」
大きな声に驚いて、俺は目を覚ました。
青い空の下、俺を上から見下ろす女がいた。
「誰。」
「同じクラスの三上七瀬(ミカミナナセ)だ!!!」
その女は怒っているような様子で俺を見下ろしている。
「で?何?」
「私は太田の友達だ。」
「太田?誰?」
その瞬間、女の平手が俺の頬に飛んできた。
乾いた音を立てて、俺の顔面は思いっきりひっぱたかれた。
「な、てめ!!
何すんだ!」
「今日手紙を渡した子の名前だ!!
太田はめちゃくちゃ勇気を出して手紙を田中に預けて、校舎裏に行ったのに、
仮病使って、名前も覚えてないなんてどーゆーことよ!!」
「あいつ、しゃべったな…」
「モテるからって調子に乗んないでよね!!」
「乗ってない。」
「仮病使って告白すら聞きに来ない時点で乗ってんのよ!」
もう一度飛んできそうになった平手を今度は見逃さずに掴んだ。
「無抵抗な人間に暴力反対。」
「あんたがそれ言う!?」
「俺無抵抗なやつ殴んねぇーもん。」
「『もん』じゃないわよ!
言っとくけど、私あんたのこと全然怖くないから!」
三上七瀬は掴まれていた俺の左手を振りほどくと、
一歩下がって俺をにらんだ。