私とキスと横恋慕。



**


「……ぃ」

「…おい」

なんだ?
田中か?女子に言ってきてくれたんだろうか…

「おい!!!」


大きな声に驚いて、俺は目を覚ました。

青い空の下、俺を上から見下ろす女がいた。


「誰。」

「同じクラスの三上七瀬(ミカミナナセ)だ!!!」


その女は怒っているような様子で俺を見下ろしている。


「で?何?」

「私は太田の友達だ。」

「太田?誰?」


その瞬間、女の平手が俺の頬に飛んできた。

乾いた音を立てて、俺の顔面は思いっきりひっぱたかれた。


「な、てめ!!
何すんだ!」

「今日手紙を渡した子の名前だ!!
太田はめちゃくちゃ勇気を出して手紙を田中に預けて、校舎裏に行ったのに、
仮病使って、名前も覚えてないなんてどーゆーことよ!!」

「あいつ、しゃべったな…」

「モテるからって調子に乗んないでよね!!」

「乗ってない。」

「仮病使って告白すら聞きに来ない時点で乗ってんのよ!」


もう一度飛んできそうになった平手を今度は見逃さずに掴んだ。


「無抵抗な人間に暴力反対。」

「あんたがそれ言う!?」

「俺無抵抗なやつ殴んねぇーもん。」

「『もん』じゃないわよ!
言っとくけど、私あんたのこと全然怖くないから!」


三上七瀬は掴まれていた俺の左手を振りほどくと、
一歩下がって俺をにらんだ。



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