私とキスと横恋慕。
数十分後、三上は泣き止んだ。
俺はその間どうすることもできず、その場で黙っているだけだった。
「ねぇ、桐山くん。」
「何。」
泣き止んだ三上は最初よりずいぶん落ち着いていた。
「泣いてごめん。
すぐ泣くの、癖でさ。」
「……」
「私は報われてほしかったんだよ。
太田、良い子だから。
私の大事な友達だから。」
「へぇ」
「でも余計なことしたね。
結果、太田に興味なくす後押ししただけになった。」
「そーでもないんじゃね。」
「え?」
振り返った三上のまつげが濡れていて、夕焼けがそれをキラキラと照らした。
「そんなにお前に大切に思われる友達、ちょっとおもしろいね。」
「ほ、ホント!?」
三上は心から嬉しそうに笑った。
「いや、でもその上から目線な物言いは腹立つ!」
「はいはい。すいませんね。」
「何!その言い方!!」
また怒り出した三上を見て俺が笑うと、
三上は頬を赤らめた。
俺は側に置いてあったリュックを持ち、立ち上がった。
「じゃあな。お前も早く帰れよ。」
「うん…。
あ、あの!!」
「何。」
三上は頬を赤らめたまま、俺を呼び止めた。