私とキスと横恋慕。



****


「4年前、中2の時、ウザい先生に反抗して、
その流れかな。」

「ほう、反抗期ですか!」


沙々はニヤニヤしながら、俺の顔を覗きこんだ。


「可愛いところもあるね、中学生景くん。」

「うるせぇ。」

「あー、でもよかったな!
景がタバコもケンカもやめてくれて!」

「……。
ケンカはちょいちょいするけどな。」

「もう!」


そうだ。
俺がタバコをやめた原因ってこいつの説教だったな。

肺がんになる、とか言って。

ケンカも、必死に止めようとしてくれたっけ。


「俺、お前に会えて良かった。」

「んなっ!」


あの時、俺が照れて返事できなかった御岡のセリフ。
沙々ならなんて返事する?


「……
そーゆーことはみんながいないところで言うように!」


その時、一時間目が始まるチャイムが鳴った。


「景。」

「何。」


沙々は少し潤んだ瞳で、満面の笑顔を浮かべた。


「私も!!」


そう言い残して、自分の席へ駆けていった。


「……一緒かよ…」

俺は笑いそうな、でも泣きそうな不思議な気分を飲み込んで、
号令に合わせて起立した。




気が強くて、友達思いで、
俺のタバコもケンカも止めてくれる
そんな女。




お前に会えて良かったよ、沙々。




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