私とキスと横恋慕。
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「4年前、中2の時、ウザい先生に反抗して、
その流れかな。」
「ほう、反抗期ですか!」
沙々はニヤニヤしながら、俺の顔を覗きこんだ。
「可愛いところもあるね、中学生景くん。」
「うるせぇ。」
「あー、でもよかったな!
景がタバコもケンカもやめてくれて!」
「……。
ケンカはちょいちょいするけどな。」
「もう!」
そうだ。
俺がタバコをやめた原因ってこいつの説教だったな。
肺がんになる、とか言って。
ケンカも、必死に止めようとしてくれたっけ。
「俺、お前に会えて良かった。」
「んなっ!」
あの時、俺が照れて返事できなかった御岡のセリフ。
沙々ならなんて返事する?
「……
そーゆーことはみんながいないところで言うように!」
その時、一時間目が始まるチャイムが鳴った。
「景。」
「何。」
沙々は少し潤んだ瞳で、満面の笑顔を浮かべた。
「私も!!」
そう言い残して、自分の席へ駆けていった。
「……一緒かよ…」
俺は笑いそうな、でも泣きそうな不思議な気分を飲み込んで、
号令に合わせて起立した。
気が強くて、友達思いで、
俺のタバコもケンカも止めてくれる
そんな女。
お前に会えて良かったよ、沙々。