私とキスと横恋慕。
「とっとと桐山呼び出せ。」
「や!!」
私は腕をブンブン振り回して振りほどこうとするが、びくともしない。
「このチビ…あんまりなめてんじゃねぇぞ!」
私の腕を掴んでいた不良の拳が私に向かって振り下ろされる。
ヤバい!殴られる!!
覚悟を決めて、目をギュッとつむった。
直後、私の体は重いものに押し潰されて地面に倒れた。
え?何?
何かに潰された…?
でもそんなに痛くない…
恐る恐る目を開けると、私の上に倒れていたのは景だった。
「景!?」
「きっ、桐山…!」
「てめぇ…」
「沙々、大丈夫か?」
起き上がった景は私に手を差し出した。
その口許には血がにじんでいた。
そんな…!
私をかばって殴られたんだ…
「景!ごめん!!」
「ホントだ、バーカ。
なんですぐ俺に助け求めねぇんだよ。」
「私が…一発殴ってやるって…約束…」
目頭がどんどん熱くなる。
泣くなんてカッコ悪い。
引っ込めろ…!!
「桐山!あの時の借り返させろ!」
「一発じゃ気が済まねぇんだよ!」
「はぁ。うるせぇゴミだな。」
景は私を引っ張り起こすと、背を向けた。
「てめぇら、殺してやるから覚悟しろ。」
「上等だぁ!」
「ぶっ殺してやる!!」
不良二人は景に向かって殴りかかった。