私とキスと横恋慕。
***
「…はぁ、はぁ…ついた…」
電車に乗って数十分、最寄り駅から走って5分。
都会のビルを縫うようにA大学はあった。
私が受けた短大とは大きさも人の数も桁違いだ。
さすが名門大学…。
大学内から喜と哀、両極端な顔で出てくる高校生たち。
それを見て我に返った。
景…!
とにかく連絡とらないと…。
スマホを取り出そうとリュックに手を突っ込んだその時、
「!!!
景ーーー!!」
愛しいその人は顔をあげた。
景だ!景!!
私は抑えきれず、全速力で景に突進した。
「な、なんでお前ここに…」
「景~!会いたかったよ…!」
周りの人たちがじろじろ見て通りすぎていくのが分かったが、
それでも力一杯景を抱きしめた。
「お疲れ様!」
そう言うと、景は「バーカ」と嬉しそうに言って、
私を抱きしめ返した。