私とキスと横恋慕。
景side
「おい、あの子可愛くね?」
フットサルの新歓イベントが始まり、
レクチャーのあと、女子の練習試合が行われている。
コートの外で待つ男子の話題は一人の女子についてばかりだった。
「あの、ポニーテールしてる、長い髪の!」
「ああ、俺も思ってた!
小さい子だろ?」
「確か名前…沙々ちゃん」
そんな会話も露知らず、
沙々は必死にボールを追いかけている。
まぁ冷静に見て、コイツ
サッカー下手だなぁ。
「おい、お前がつれてきた同級生!
めっちゃ可愛いじゃん!」
「ああ、まぁ。」
「あの子となら俺の身長でもちゃんと差ができるからいいかも…」
「アイツはダメだよ。」
「ほぉ…」
中島はニヤニヤしながら俺の顔を覗きこんだ。
「何?やっぱ彼女?」
ピピーーッ
試合終了の笛が鳴った。
俺はニッコリと作り笑いをすると、
中島に振り返った。
「内緒。」
「ぐぬぁーー!
イケメンは何してもイケメンだな!!くそっ」
中島は悔しそうな顔をしながら、
俺のあとに続いた。