私とキスと横恋慕。
景side
「沙々ちゃ~ん?」
「酔っちゃったかな?」
「ちょ、先輩!やめてください!」
飲み会中、そんな会話が俺の耳に入ってきた。
立ち上がって沙々の卓を見ると、
力が抜けているような沙々の姿と
言い寄る男共、
必死に交わしている美咲という沙々の友達の姿があった。
「景くん?どうしたの?」
「……」
俺は女の先輩の言葉を無視して、
沙々の側に屈んだ。
「な、なんだお前。
一年か?」
「はい!どーしたんですか?沙々。」
「あぁ…なんか酔っちゃった…のかな?」
沙々のコップにはカシオレらしきものがそそがれていた。
「誰が飲ませたんです?」
「いや、俺だけど…」
名乗り出た先輩をできるだけ怖くないように睨む。
「オレンジジュース好きだったみたいだからさ、
カシオレも好きかな~って思ってついでたら…
ガブガブ飲むから…」
くそ、キレるな。
沙々と約束したばっかだ。ケンカしないって。
「そうなんですか!じゃああとは俺が…「景?」
俺のセリフを遮ったのは、寝ぼけ眼の沙々だった。