私とキスと横恋慕。
「だから、景はあたしのだから…近づいちゃ…ダメ……」
沙々はそう言い残すと、
ポックリと死に絶えてしまった。(寝た。)
「ハハッ……まぁそういうことらしいので、
お先に失礼します。」
「え…君たち、やっぱり付き合ってるの?」
「てゆーか沙々ちゃんって…不良的な?」
「違いますよ。」
俺も沙々をおぶり、「よいしょ」と立ち上がる。
「ちょ、待てって!
それなら彼氏でもないお前が持ち帰るのはヤバいだろ!」
さっきから何度も沙々に言い寄ってる先輩がなおも食い下がる。
「ッチ…しつけぇな。」
「へ。」
その場の空気が凍りついたのを感じたが、
もうイライラの限界だった。
「一緒に住んでんだからいいんだよ!
それ以上なんか言ったらぶっ飛ばすぞ。」
俺は周りの反応を見ることなく、居酒屋をあとにした。
ま、ケンカはしてないならな!
ケンカは。
自分が意外と嫉妬深く、
沙々に言い寄る男に対してはほとんど理性が働かないことを今日初めて知った。
あとで中島にも謝ろう。
さっきのは子供っぽかったな。
「お前といると調子狂うわ。」
そう俺の背中で眠る沙々に囁いた。