私とキスと横恋慕。



***

「ほんっとーにごめん!!」


帰宅した家のリビングで沙々は顔の前で手を合わせ、
深々と頭を下げた。


「別にいいよ。」

「せっかくの楽しい飲み会だったのに…
私すごいこと言ってたよね!?
あれ、夢じゃないよね!?」

「ああ、夢じゃねぇよ。」

「ぐぬぁ!最悪!!
あ、美咲ちゃんにも謝らなきゃ…。」


沙々は慌ててスマホを取り出し、
必死にメッセージを打ち始めた。


「あー、お前が寝たあとさ」

「ん?」

「お前にしつこく迫ってた男の先輩に…
ぶっ飛ばすとか言っちゃった。ごめん。」

「え!!?」


沙々は驚愕の表情を俺に向けた。


「美咲って子にも引かれたかも。悪い…。」


沙々はしばらく黙っていたが、
数秒後ふっと笑った。


「いいよ。私のことが好きだから怒ってくれたんでしょ?」

「お前……よくそんな恥ずかしいこと言えるな。」

「でもそうなんでしょ?」

「まぁ…」


くそ、コイツの前だと本当にただのガキみたいだ。


「じゃあいいの。
ありがとう、景。」


沙々は本当に嬉しそうに笑った。




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