私とキスと横恋慕。
背後から桐山が黒板消しを持つ私の手に自分の手を重ねた。
「いちいちのろいんだよ、お前は。」
「ねぇ、どういう意味…」
「…………」
手を重ねたまま、桐山は黒板を消し始めた。
もういい。
これ以上私の心の中を占めるな。
これ以上……私を悪役にしないでよ……。
黒板を消し終えると、桐山は私を抱えて椅子から下ろした。
「軽。」
「ちっさくて重かったらどーすんだよ。」
「そーだな。」
桐山は私のロングヘアーを触って遊んでいる。
心地いいな。
桐山って冬みたい。
冷たい言葉で私を傷つけるのに、なんかあったかい気がする。
冷たい言葉の中にあったかい感情が見える気がする。