私とキスと横恋慕。




「止まって!」


「……………」


「止まれ!バカ山!」


「っ!なんだそれ」



桐山はようやく止まってくれた。



その顔には少しアザができている。


「痛くないの?とりあえず冷やそう。」


「平気だよ。慣れてるし。

多分向こうの方がよっぽど痛いって。」



桐山はまた「行くぞ」と言って手を引っ張る。



「なんで……大事にしてくれないの…?」


「は?

っ……」


私が桐山の頬のアザに優しく触れると、桐山は動きを止めた。


見てるだけで痛い。

ケンカなんてしないでほしい。

他人を傷つける桐山もやだけど、傷つく桐山もやだ。



「なんで……お前が泣きそうな顔するわけ?」


「っえ……」



桐山は私の髪をクシャクシャっと撫でた。





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