私とキスと横恋慕。
「怖かった?」
私が首を縦に振ると、桐山はちょっと驚いたように見えた。
「そっか。悪かった。」
「うん…。
あ、ちゃんと冷やそ。
待ってて、ハンカチ濡らしてくる。」
私は近くの公園へ小走りで向かった。
桐山が謝るのって珍しいな。
今のケンカだって、私のこと悪く言われたから怒ってくれたんだよね。
彼女でもないのに、大切にされてるような気持ちになる。
勢いよく流れていた水道を止め、ハンカチを絞った。
彼女でも…ないのにね。
ため息をつきそうになって、ハッと我に返り、
私は急いで桐山のもとへ戻った。