私とキスと横恋慕。
美羽たちにあんなことを言ってしまった手前、ホントに会わないわけにはいかないよな…。
私は昼休み、カバンごと持って、教室の外に出た。
いつかの紙切れを取りだし、殴り書きされた番号を打ち込む。
『…もしもしー?』
「あ、御岡くん!私、松永 沙々です。」
『沙々ー!
久しぶり。デートする気になった?』
迷いのない誘い文句に、私はほっと安心した。
「うん、別に寂しいとかじゃ…ないけど…多分。
せっかくだし遊びたくて。」
『嬉しいよ。
何時なら平気?』
「えっと…15:00くらいに駅前の…この間座ったベンチとか…」
『OK!楽しみにしてるな。』
「うん。ありがとう。また…」
『おう、また明日!』
電話を切って、フーッと息をつく。
良かった。
緊張した。
寂しくない。
寂しいんじゃないけど、ひとりぼっちでいたら寂しいことに気づいてしまいそうで怖かった。
私は安心して、美羽たちが待つ自習室へ向かった。
その電話が聞かれていたとも知らずに…。