私とキスと横恋慕。
「……私は違う。
桐山の彼女は……」
「行かせたくない。」
私が涙で滲んだ視界を上げると、
桐山の切なそうな顔がそこにあった。
視界が潤んでいたから、見間違いかもしれないけど。
「もう限界だ。
これ以上は我慢できない。」
「なんのこと……」
「お前との約束だ。
十分竹内とは付き合った。
でも好きになれない。」
「だ、ダメっ!
美羽のこと、傷つけたら許さない!
やだよ…別れないで…」
「……俺は…「桐山…?沙々……」
その時、安心する声が私たちの会話に割り込んだ。
「御岡…」
「御岡くんっ…」
ああ、良かった。
御岡くんだ。
私はベンチから立ち上がって、御岡くんの元へ歩こうとした。
でも桐山に後ろに引っ張られる。
「離して」
私は自分でもビックリするくらい弱々しく、そう言った。