私とキスと横恋慕。




「きりやっ…なにして…!」


「お前が聞き分け悪いから。」


「離せ!私は!お前のことなんか…」



桐山が私の手に自分の手を重ねてぎゅっと握る。



「お前のことなんかっ…」



握られた手から熱が発生し、私の身体全体に伝導する。



手を握られただけでこんなに人って熱くなるものなの?



恋ってこんなにも人を浅ましくするものなの?





知らなかった。



横恋慕がこんなにも苦しくて仕方がないものだって、

知らなかった。




私の頭のなかで組み立てていた桐山から逃げる方法は全部吹っ飛び、

目の前の男へのいとおしさでいっぱいになった。



桐山…


桐山




私は体を起こし、そっと彼の唇に自分の唇を重ねた。













「好きだよ」













無意識に出たその言葉は空気を振動させながら宙に消えていった。






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