私とキスと横恋慕。
本心に反して俺が竹内と付き合っているのには、訳がある。
竹内に告白されたのは秋のことだった。
その日は朝から雨だった。
***
めんどくせぇ天気。
じめじめしてるし、視界が悪くなるのも嫌いだ。
「ねぇ!このお店さ…」
教室に入ると、女どもの会話がうるさい。
授業サボろっかなー
そんなことをぼんやりと考えていた時、
『桐山』と囁きながら話す女の声が聞こえた。
耳だけその方向に傾けると、
どうやら松永たちのグループのようだった。
「桐山くんってカッコいいよね!」
竹内がそう言った。
「うーん、ルックスは素敵!」
「頭もいいしね~
でもやっぱ怖くない?」
「沙々は?」
俺はさっきまでより耳に神経を集中させた。