【完】『ふりさけみれば』
6 自信
東京に戻ったみなみは、
──ずいぶんと人が変わったなぁ。
と上司の清家や、ディレクターの梨沙が目を丸くするほど、躍動的になった。
その最たる例が、
「女子アナ漫遊記」
という企画を出してきたことである。
それまで。
どちらかというとスタジオでの企画が中心であったが、
「現場に出たいんです」
というみなみの意欲が、こうした企画になってあらわれた格好であった。
内容としては。
目的地だけ決めて、あとは女子アナと最小限のクルーだけで街を歩き、いろいろ発見してゆくという単純な中身である。
が。
「今はタレント任せだからなぁ」
会社員の女子アナのほうが案外しっくりするかもな、という編成の声もあり、
「早速やってみよう」
という運びとなったのである。