【完】『ふりさけみれば』
のちに。
この日の話は一慶は手紙で知ったが、
「…先だって同封のオンエアの録画、逐一隅まで拝見、心配ながらも無事に終えて安堵し…」
とあり、これは関西で放送されていなかった一事が、そこで窺われた。
あとは。
視聴率とモニターの反応である。
こればかりは。
一慶も分からなかった。
さらに。
この日の録画は大原にいた彩や力もその場に同席して見たのだが、
「みなみ、なんかぎこちないなぁ」
もう四年目なのに物腰が硬い。
しかも。
秋には文化部の記者になるのである。
文化部なので事件は少ないが、みなみのテレビ局は稀なケースながら、文化部が大阪にある。
「うーん」
一慶は首をひねった。