【完】『ふりさけみれば』

とりもなおさず。

大阪にみなみが移るという意味でもある。

(なんであんなにこだわってたアナウンス部から)

あっさり文化部に移るのを決めたのか、力も一慶も、まるっきり分からなかった。

が。

何かに彩だけは気づいていたようで、

「動機があるとすれば、カズさんじゃないかな」

といった。

「…ほへっ?」

一慶は間の抜けた返事をした。

「私が思うのはね」

と彩は続けた。

「みなみ…多分、カズさんのこと、何か意識してるんじゃないかな」

そうでなきゃ大阪まで来ない、というのである。

「女の子って、そういったもんなんかなぁ」

「あのねカズさん、私もだけど、みなみも含めて女は決めるまではあぁでもないこうでもないって悩むけど、決めたらダイナミックに動くんだって」

きっと何か決めたんだと思う、と彩は推測しているようであった。



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