【完】『ふりさけみれば』

7 沈黙の告白


金曜日。

朝から雨であったが、夕方になって晴れた。

文化部に配属されたみなみは毎日あちこち挨拶に出向いたりする状態で、昨日は大阪城の博物館、その前は京大、さらに前には銀閣寺…といった案配式である。

この日も。

奈良の春日大社まで先輩に伴われて挨拶ついでの参拝も済ませ、上本町から堂島の文化部まで戻って来てから、帰宅したのは終電近くであった。

帰ると、一慶の手紙が届いている。

文面は次のようなものであった。

「いつもながら多忙そうでお疲れ様。まだ関西暮らしは馴れないと思うけど、どうかな?
まぁ住めば都でエンジョイ出来るから、変な心配はしなくて大丈夫。
ところで、こないだいいかけた話の続き、あれが気になるんで今度スケジュールを決めて話そう。
実はみなみちゃんに伝えたいことがあるけど、それは面と向かって伝えたいから、そのときまで」

一慶も実は伝えたいことがある、という一文に、みなみは少しドキッとした。

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