【完】『ふりさけみれば』
(カズさんが言いたいことって、どんなことなんだろう…?)
という疑問とみなみは同時に、
(何かカズさんが傷つくこといったかな?)
とも頭を掠めた。
みなみの悪い癖といってしまえばそれまでだが、自信の持てないでいるみなみは、どうしてもよからぬ方角から構えてしまう。
そこは。
いつも彩や梨沙も口を揃えるように、
「もっとみなみはさ、気持ちを強く持ちなよー」
などといわれてしまう。
そこが。
気の強い恵里菜との違いであり、ここ一番での弱さであり、背の高いみなみを小さく見せている要因の一つでもあった。