【完】『ふりさけみれば』
人を信用してない、と思われてしまうと一慶はそれまでだが、
「そんなもんはどうでもえぇし、こっちの人生に何の関係もあれへん」
と意にも介さない。
実に。
変わっている。
そのくせ。
人一倍、他人に迷惑をかけることを嫌う。
前に。
待ち合わせに一慶が少しだけ遅れたことがあったが、その日は自分が許せなかったのか、
「こういう面があるから、あんまり自分のこと好きやないねん」
と、自己嫌悪を丸出しにしたこともある。
それでいて。
「嫌いなもんはお腹いっぱいやって箸つけへん」
という面もある。