【完】『ふりさけみれば』

人を信用してない、と思われてしまうと一慶はそれまでだが、

「そんなもんはどうでもえぇし、こっちの人生に何の関係もあれへん」

と意にも介さない。

実に。

変わっている。

そのくせ。

人一倍、他人に迷惑をかけることを嫌う。

前に。

待ち合わせに一慶が少しだけ遅れたことがあったが、その日は自分が許せなかったのか、

「こういう面があるから、あんまり自分のこと好きやないねん」

と、自己嫌悪を丸出しにしたこともある。

それでいて。

「嫌いなもんはお腹いっぱいやって箸つけへん」

という面もある。




< 118 / 323 >

この作品をシェア

pagetop