【完】『ふりさけみれば』
が。
当のみなみは大阪にいる。
しかも。
文化部は基本的に考古学や歴史学、文学や化学などと繋がっている部署である。
したがって。
関西の学問や芸術の総本山といっていい、京都に滞在する時間が長くなるのは、必然的な形態であった。
なので。
みなみにすれば、
(毎日京都に行ける)
というのは、仕事である点を除いても余りあるほど、東京で視聴率に振り回されながら働いていた頃には考えられないほどの充実感を得られる、やり甲斐のある職場であった。
おまけに。
彩のパートナーの力は京都で指折りの盆栽園の六代目で、海外で知名度が高い。
初めて取材に行くにしても、
「関藤園の六代目さんの紹介なら」
といって、すんなり許可の出る場合があって、
「何か小さいことで泣いてばっかりだった、東京の頃の私は何だったんだろ」
と、一慶に笑って話せるようになっていた。