【完】『ふりさけみれば』
みなみがしょげていると、
「本場の宝塚の舞台を観てほしいなぁ」
今度の公演で地元の後輩が娘役で出る、としおんはいうのである。
「でもよく分からない人間が行って大丈夫なんですか?」
「そんな敷居なんか高くないわよ」
一度みなみちゃんに見せてあげたくて、と秋月しおんはいう。
「チケットあげるから、感想ちょっと聞かせてね」
そういうと、廊下を再び歩いて行く。
「…背中が男前だなぁ」
颯爽とした後ろ姿が、みなみの目にはかっこよく映った。