【完】『ふりさけみれば』
夜。
一慶にみなみは電話をかけた。
「みなみか?」
出てすぐみなみと分かったあたり、どうやら通知指定にしてあるらしい。
「ねぇカズ」
この頃になるとカズと呼んでいた。
「今日さ、実は」
「テレビでやってたんやってな」
ちょっと前に彩ちゃんが教えてくれた、といった。
分かっていたようで、
「まぁああいうのは見てきたような嘘をつくから、みなみは気にせんでえぇ」
一慶は明るく笑った。