【完】『ふりさけみれば』
4 青天白日
斯(か)くして。
みなみは東京のアナウンス部へと復帰を果たした。
異例、といっていい。
さらにいえば。
みなみのテレビ局では、過去にそういった人事の例がなかったらしく、初の出来事である。
そのため、
──出戻り。
と口汚い芸人あたりから揶揄されることも間々あったが、
「みなみ、おかえり」
と、梨沙や恵里菜は温かく、嬉しそうに迎えてくれた。
新居も。
横浜の鶴見にマンションを借りた。
さらに。
みなみが鶴見に引っ越して最初にしたことは、二輪の免許を取ったことであった。
(今度はカズとツーリング出来るといいな)
そんな淡い願いからであったらしい。
が。
アナウンス部のデスク周りを見回してみても、清家の姿がない。
「あの…清家先輩は?」
再度みなみは見回した。
すると、
「…みなみ、知らないんだ?」
恵里菜はみなみの耳許で、
「清家主任、フリーになるんだって」
とささやいた。