【完】『ふりさけみれば』

何日か過ぎた。

みなみの復帰祝いが同期の仲間内で行われることになり、局の近くのレストランを借り切って、総勢で十人近い同期の社員が集結する場が設けられることとなった。

当日。

集まったのは恵里菜や梨沙、あるいは総務や技術、経理、記者などの同期たちで、みな口々に、

「復帰おめでとう」

とワイングラスを鳴らし、みなみのアナウンス部復帰を祝っていた。

恵里菜も梨沙も、このときにはみなみが一慶と真剣に交際していることを知っていたようで、

「変にタブロイドとか週刊誌とかバレないようにしなきゃね」

などと笑いながらワインを楽しんでいた。

が。

宴も終盤となった頃、

「みなみ先輩」

会場の出入り口から聞いたことのある声がする。

見ると。

なぜかそこには、後輩の河原崎美珈がたたずんでいる。

「おい、誰だ河原崎なんか呼んだの」

同期から声が上がったが、そんな非難は河原崎美珈は気にしない。



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