【完】『ふりさけみれば』

さらに梨沙はいう。

「前にみなみがやってた深夜の番組、みなみが関西に移ったあと、河原崎がスポンサーの常務と寝て、時間のスライドって表向きの屁理窟くっつけて横取りする形で始めたんだよ」

これは作る側しか知らない事実であった。

「そんなんでしか露出度を上げられない女子アナなんて、売春婦みたいなもんじゃない!」

梨沙の憤りは悲哀に変わっていたようで、

「みなみも恵里菜も、もしフリーになれるんだったらなったほうがいいって」

と最後にいい切った頃には泣き始めている。

それまで明るかった会場は、すっかり白け切っていた。

仕方なく。

出されたオードブルのローストビーフやらフライドチキンを、テイクアウトでみなみは持ち帰ったが、

「何か散々なパーティーだったなぁ」

といいながら、しかし味はうまかった。



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