【完】『ふりさけみれば』
そんななか。
みなみは休日、いつものように一慶と京都で逢って、八坂神社のそばの辻利のカフェで抹茶パフェを食べたりして、楽しんでいた。
「ねぇカズ」
「?」
「うちらもし撮られたら、どうする?」
「そのときはハッキリ交際宣言出したろかなって、うちは思うんやけど」
日頃あんまりピシャッといわない一慶が、珍しく断言した。
「…どうしたの?」
これにはみなみがびっくりしたようで、
「別に悪事しよる訳でもないしやな、隠さんでもえぇんとちゃうかな」
そういうと、
「みなみの実家に電話でも一本入れとかなな」
と、その場でみなみが函館に電話をかけ、
「いきなりの電話で失礼しますが、実は娘さんと交際させてもろてます」
といい、最低限の仁義は通した形になった。