【完】『ふりさけみれば』
実はな、と力は小さく、
「そんで彩から別れ話切り出されてやな」
「そら一大事やないか」
一慶は愕然とした。
まさか自分の送別会の席で、カップルの終焉が決まる可能性があるのである。
「うちの目の前で破局されるんだけは勘弁やで、きっついよって」
「なるだけ気をつける」
そこに。
彩が遅れて来た。
「ごめんねカズさんお待たせ」
力がいる。
殊更のように隣に座った。
のちに。
彩がいったのだが、
「表向きしか仲良くない人と会食しなきゃなんない場合は、あえてボックス席で隣に座ると、顔を見なくて済む」
という理由かららしい。