【完】『ふりさけみれば』

キューバリブレを口にしながら一慶は静かに聞いていたが、

「それ、ちゃんと話し合った結果か?」

とだけいった。

あまりにも隙のない言い方をしたのか、それまで饒舌に話していた力と彩はぴたりと止まった。

「二人のことやろ? それこそ徹夜で話し合うぐらいのこと当然して、ほんで埒明かんからそうなったんやろ?」

一慶は半分に減ったキューバリブレを飲み干した。

これには。

彩も力も押し黙ってしまうしかない。

「そういうお前は」

「うちはみなみと毎日メールしたり電話したり、手紙書いたり、取れるコミュニケーションは取るようにしとる」

といい、

「うちなんか公式のプロフィールにない、みなみの体重まで知っとる」

さすがに。

力と彩は驚いた。

女の体重まで男が把握している、というのは珍しい。



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