【完】『ふりさけみれば』
2 ある日の謎
連休が明けた。
みなみと一慶の共同の生活も三ヶ月ばかりが過ぎ去り、ようやく落ち着いてきた頃、一慶のある行動にみなみは気づいた。
月に一日だけ必ず、朝から身支度をしてどこかへ出かけ、夜遅くに帰ってくる。
しかも。
それは決まって毎月の十五日であった。
みなみもはじめは気が付かなかったが、一緒に暮らすようになってから、初めて気がついたのである。
当初は浮気も考えた。
しかし。
帰ってきて酒臭くもなければ煙草臭くもなく、まして香水やフレグランスの匂いもない。
だが。
何かしら理由のようなものはあるのかも知れない。
一人で悩んでも始まらない。
そういったみなみの変化に真っ先に感づいたのは、意外なことに恵里菜である。
「みなみ、どこか体調悪いの?」
帰りに同じ時間になったのも、このときばかりは奇跡的であった。