【完】『ふりさけみれば』
それは。
一慶が生まれたときの話をしたときのことで、
「うちが生まれたのは宮島なんやけど、あの島は出産と葬式は不浄やからってんで、うちもオカンが対岸の病院まで行こうとしたら連絡船で破水して、そのまま生まれた」
というようなことを語っていたのを、思い出したのである。
そこで。
みなみが取った行動は実にダイナミックであった。
まず福岡まで飛行機で行き、地下鉄で博多駅まで出、新幹線で広島へ向かう…という行程である。
そのプランを聞いた梨沙は、
「それがいちばん早いかも」
といった。
「広島から来る芸人さんやアイドルも、そういう移動はよくするから」
その方が少しは、ショートカットできるらしい。