【完】『ふりさけみれば』
さっそく。
帰宅したみなみは一慶に、
「ね、カズ」
と、DJナギサに変わった結崎なぎさの話をした。
そのあたり。
まるで一慶も知らなかったようで、
「なぎちゃんDJなったんかー」
と口をあんぐり開け、まるっきり違った方角への転身ぶりに、言葉が繋がらなかった。
「なぎちゃんは娘役でトップに立つより、自分らしく生きることをおそらく選んだんやろね」
「自分らしく生きる?」
「せや」
「それならカズだって自分らしく生きてるじゃん」
「そうかなぁ」
「そうだよ」
みなみは笑顔で答えた。