【完】『ふりさけみれば』
横須賀シャークスの球団からは、
──スポーツ担当から河原崎美珈を外すように。
と、要求が来た。
特に。
フロントより球団の女社長が激怒していたらしく、
「女の敵は女」
というキャッチーな題で、女社長と河原崎美珈の戦いという様相も、呈し始めている。
こうなると。
シャークスの親会社で、局のスポンサーでもあるゲームのメーカーも、決して黙っていることはない。
仮にも。
親会社はゲームのメーカーとしては、国内の三割のシェアを占める大企業である。
報道が出た週明け。
東京本社から営業部長がアナウンス部に乗り込んできた日なんぞは、
「それはもう、凄まじい修羅場で」
と、まるでみなみは、部外者のような顔をして遣り過ごした。
腹黒いといってしまえばそれまでだが、
「だって私が付き合ってるのは、浅香徹じゃなくて兵藤一慶だもん」
そういわれてしまえば、誰も反論は出来ない。