【完】『ふりさけみれば』

果たして。

当の河原崎美珈は、

「スポンサーの関係者に対し、不適切な言動ならびに行為をおこなった」

として、停職処分が下された。

禍事という他ない。

ちなみにそのあと、河原崎美珈は停職処分が明けてすぐに退職してフリーになった。

数ヶ月ばかりはタレントじみたことをしていたが、売れずにヌードのグラビアの話が来たので、

「脱がなきゃならないぐらいなら辞めます」

といい、事務所を辞めた。

その後は。

みなみどころか、筆者すら消息は分からない。

いっぽう。

ラジオで喋ったみなみは、口頭で注意を受けただけで済んだ。

もっとも。

この案件で一番の得をしたのはDJナギサで、この件でテレビや雑誌で引っ張り凧になるぐらい、一気に知名度が跳ね上がり、

──女子アナキラーの女性DJ。

という異名を得て、バラエティに出る回数が極端に増えたのであった。

それを聞いた一慶は、

「まぁ、いわゆる焼け太りやな」

とだけいい、あとは接触を避けたかったのか、取り立てて何か語ろうとはしなかった。



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