【完】『ふりさけみれば』
翌朝。
そのまま横須賀へ戻るのも芸がないから、というので京都まで、みなみと一慶は新幹線で移動した。
久しぶりの京都駅である。
「やっぱり京都は変わらへんなぁ」
「懐かしいね」
みなみと一慶が初めてデートをしたのも、二人が初めて結ばれたのも、一慶が京都にいた頃である。
みなみにとっても。
一慶があちこち教えてくれた店や穴場のお陰で、仕事に自信がついた。
駅前で彩がいる大原へ行くルートを練っていると、
「…カズ兄ちゃん?」
振り向いた。
そこには。
制服姿の女子高生と、外国人の男のカップルがたたずんでいる。
紛れもなく、愛である。
「愛ちゃんやないか」
驚いたどころではなかった。
「こっちだって驚いたよ、だっているはずがないって思ってたから」
いわれてみれば。
愛のいう通りであろう。