【完】『ふりさけみれば』

翌朝。

そのまま横須賀へ戻るのも芸がないから、というので京都まで、みなみと一慶は新幹線で移動した。

久しぶりの京都駅である。

「やっぱり京都は変わらへんなぁ」

「懐かしいね」

みなみと一慶が初めてデートをしたのも、二人が初めて結ばれたのも、一慶が京都にいた頃である。

みなみにとっても。

一慶があちこち教えてくれた店や穴場のお陰で、仕事に自信がついた。

駅前で彩がいる大原へ行くルートを練っていると、

「…カズ兄ちゃん?」

振り向いた。

そこには。

制服姿の女子高生と、外国人の男のカップルがたたずんでいる。

紛れもなく、愛である。

「愛ちゃんやないか」

驚いたどころではなかった。

「こっちだって驚いたよ、だっているはずがないって思ってたから」

いわれてみれば。

愛のいう通りであろう。



< 248 / 323 >

この作品をシェア

pagetop