【完】『ふりさけみれば』
4 西へ東へ
帰路、みなみはすっかり落ち込んでしまっていた。
「ほんとにすいません」
身長の高いみなみが背を丸め、すっかり小さくなってしまっている。
「…わたし、いつもなんです」
「ん?」
「無自覚のうちに余計なことを言ってしまって、それでよく、失敗してしまうんです」
「うん」
「…わたしアナウンサー、もしかしたら向いてないのかなぁ」
うーん、と一慶はしばらく考えてから、
「それは自分で決めつける話とちゃうやろ」
「でも…」
「あんたなぁ、もうちょい自信持ちや」
試験でどんだけ蹴落として入局しとんねん、と一慶はいう。
「採用率なんぼや?」
「…確か千倍近くだと思いましたけど」
「そんだけ蹴落としたら充分や」
一慶は苦笑いした。