【完】『ふりさけみれば』
2 春の輓歌
結局。
この日は力の盆栽園の離れに泊まった。
そこからは。
大原の彩に会ったり、西陣の頃によく顔を出していた知り合いたちと懐かしい再会を果たしたり…と、あっという間に滞在期間の七日間が過ぎた。
彩と力が破局したのも、この時に知った。
それぞれ。
別々にパートナーを得たのを聞くと、
「今度はちゃんとせぇよ」
と、とりわけ女遊びの癖がある力には、きつめに釘を刺した。
「お前、よう遊ぶからなぁ」
「おれはな、カズやんみたいに一本気とちゃうねん。アメーバみたいに変化するから人間なんや」
「まるでうちが人でなしの妖怪みたいやないか」
口は悪いが、互いを知った上なので喧嘩にはならない。