【完】『ふりさけみれば』
しばらく経って。
ダンスの留学でアメリカに滞在していた愛が、留学を終えて戻ってくることになった。
羽田の空港でみなみがみのりと一緒に出迎えると、
「みのりちゃん大きくなったねー」
愛は子供が好きなようで、みのりを抱き上げて笑顔になった。
「えらいねー、泣かないよみのりちゃん」
「そういう胆の据わったところはカズそっくりみたいで、だから大人になったら大変かなって」
一慶の豪胆さは受け継いでいるらしい。
「今度さ、帰国のお祝いでみんなで集まろうかなと思うんだけど、どう?」
「私は構わないけど、みのりちゃんは?」
愛はみのりに訊いた。
みのりは邪気のない表情で笑っている。
「みのりちゃんは大丈夫みたい」
「そのときに、私のアナウンサー時代の友達とか連れてきて大丈夫かな?」
「いいともーっ!」
「それ、他局の」
みなみは笑いながら突っ込んだ。
「みなみお姉ちゃん、突っ込み出来るんだ」
「カズに鍛えられたからね」
久しぶりに一慶の話題で盛り上がれたのが、みなみは嬉しくてたまらなかった。